新人行政書士の方向けのブログ、建設業許可の概要や要件などの基本について

行政書士をこれから始める方にとっては、何の業務から始めればいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで私がおすすめしたいのが「建設業許可の申請代行」です。

行政書士の仕事で建設業許可の申請代行といえば、行政書士の花形と言われることもあるくらいポピュラーな仕事です。建設業許可はいろいろと複雑なところもありますが、その複雑さゆえに、ある程度理解ができれば、他の許可や登録も理解しやすくなり面があるのではないかと思います。

また他の仕事に比べると建設業許可の仕事は書士の仕事の中では比較的回ってきやすいような印象があります。(とはいっても仕事を得ることは簡単ではないですが)

ですので、なにから始めればいいかわからないという新人の行政書士の方は、建設業許可の仕事に興味を持ち、学ぶことは書士としてプラスになるのではないかと思うのです。

このブログでは、主に新人行政書士の方むけに建設業許可の概要や要件など、基本的な事項をある程度わかりやすく解説していきたいと思います。

目次

建設業許可とは何か

建設工事の完成を請け負うことを営業するには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、「建設業の許可」を受けなければなりませんただし、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいこととされています。

許可とはそもそも、本来誰でも受領できる個人の自由を、公共の福祉の観点から一旦禁止しておき、個別の申請に基づいて特定の場合に解除する行政行為です。建設工事も誰もが自由にやってしまうと混乱や危険を招く恐れがあるので制限されているわけです。

しかし「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合は、建設業許可は必要ありません。(許可は不要でも、「登録」が必要なケースはありますが)

軽微な工事とは、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事です。ただし、「建築一式工事」については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事となっています。

建設工事の区分建設工事の内容(請負額には消費税額を含みます。)
建築一式工事の場合工事1件の請負額が 1,500 万円未満の工事、又は延べ面積が 150 平方メートル未満の木造住宅工事
【木造】…建築基準法第 2 条第 5 号に定める主要構造物が木造であるもの
【住宅】…住宅、共同住宅及び店舗等の併用住宅で、延べ面積が 2 分の1以上を居住の用に供するもの
建築一式工事以外の工事の場合工事1件の請負額が 500 万円未満の工事
建設業許可が必要ない軽微な建設工事

とりあえずは、ざっくりと「建築一式工事以外の工事で500万円以上の工事を行うには、建設業許可が必要」と覚えておきましょう。

ちなみ建設業許可は、建設業者ごとに取得するものです。工事の現場ごとに申請して取得するものではありません。法人でも、個人でも許可は取得してから5年ごとに更新が必要になります。

建設工事の種類について

建設工事は、土木一式工事と建築一式工事の2つの一式工事と27の専門工事に分類され、それぞれに応じ、29の業種が法律に定められています。

建設業許可29業種

例えば、500万円以上の塗装工事と内装工事を請け負い、業としたい場合は、塗装工事及び内装工事の2つの許可の取得が必要になります。つまり、いろいろな種類の工事に取り組んでいる建設業者の方は、それだけ多くの許可業種を取得しなければなりません。

よく勘違いされやすいのが、建築一式工事についてです。建築一式工事とは、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事です。(例:建物の新築工事、建築確認を要する増改築工事、建物の総合的な改修工事等)

建築一式工事は、一軒家を建築する工事など、総合的な工事というイメージがあるためか、建築一式工事の許可さえとってしまえば、内装工事や電気工事など、何の工事でも請負できると思い違いされている方がいますが、専門工事(内装工事や電気工事など一式工事以外の工事)を請負するには、それぞれの専門工事の許可が必要になります。

お客様でも稀に思い違いされて建築一式工事の取得を依頼してこられる方もいますので、注意が必要です。

建設業許可の要件

建設業許可には必要な要件がいろいろとありますが、最低限必要なものとして、ざっくりと「ヒト・モノ・カネ」で考えるとわかりやすいと思います。

「 ヒト・モノ・カネ」 とは、組織運営に必要な「人、物、金」、すなわち経営の三要素を示したものですが、建設業許可では、ヒトが経営業務の管理責任者と専任技術者、モノが営業所、カネが財産的基礎を指します。

※経営業務管理責任者とは、 5年以上の建設業の経営者としての経営経験を有する者など
※専任技術者とは、国家資格有資格者、建設工事に関し、10年以上の実務の経験を有する者など
※財産的基礎とは、自己資本額が500万円以上や500万円以上の資金調達能力を証明できることなど
(一般建設業許可と特定建設業許可で条件が異なってきます)

お客様から、「建設業許可をとるために必要なものは何ですか?」と聞かれたときは、上記のヒト・モノ・カネでさっと答えられると、お客様の信頼度や安心度も高まると思います。

次の項目からは、それぞれの要件について、順に解説していきます。

経営業務の管理責任者について

法人では常勤の役員のうち1人が、また、個人では本人又は支配人のうち1人が、「経営業務の管理責任者」となる必要があります。経営業務管理責任者は誰でも就任できるわけではなく、一定の経営経験が必要となります。具体的な経営経験とは、下記のようなものです。

上記の書き方だと、非常にややこしいですが、ざっくり言うと法人では、「建設業許可のある会社で常勤役員として5年以上の経験」、個人事業主では「建設業者として5年以上の経営経験」があれば問題ありません。他の要件は建設業者での経営経験が5年に満たない場合の救済措置のように考えるといいと思います。

また建設業許可のある経営業務の管理責任者には、「常勤性の確認及び要件の確認」がありますので、下記のような書類の提出が必要になります。

・常勤性の確認書類
健康保険証、標準報酬決定通知書の写しなど

・要件の確認書類
履歴事項全部証明書、閉鎖事項証明書、役員欄閉鎖抄本等(法人役員の場合)
確定申告書(控)の写しなど(個人の場合)
工事の契約や注文書の写しなど(建設業許可のない会社での経験の場合)
経営業務管理責任者証明書の写し(過去に経営業務管理責任者をされていた場合)

専任技術者について

すべての営業所に、次のいずれかに該当する「専任技術者」が必要になります。

【一般建設業許可の場合(いずれかに該当すること)】

【特定建設業許可の場合(いずれかに該当すること)】

※ 指定建設業については、イ又はハに該当する者であること。
※ 指定建設業とは、土木工事業、建築工事業、管工事業、鋼構造物工事業、ほ装工事業、電気工事業、造園工事業をいう。

ざっくり言うと、「何らかの資格をお持ちの方または、一定の実務経験のある方を専任技術者として営業所に配置してくださいね」ってことですね。

また、許可は「一般建設業許可」と「特定建設業許可」に分かれていますが、「一般建設業許可」を取得される建設業者の方が大半です。「特定建設業許可」は、発注者から直接請け負う工事1件につき、4,000万円(建築工事業の場合は6,000万円)以上となる下請契約を締結する場合に必要な許可です。大手さんだと特定建設業許可が必要なケースがあります。

専任技術者には、常勤性の確認と要件の確認がありますので下記のような書類の提出が必要になります。

・常勤性の確認書類
健康保険証、標準報酬決定通知書の写しなど

・要件の確認書類
国家資格免状、監理資格者証の写しなど(資格保有者の証明の場合)
工事請負契約書、又は注文書の写しなど(実務経験での証明の場合)
個人事業主の場合は確定申告書 、法人の場合は雇用保険被保険者証など(実務経験期間の在籍確認書類として)

営業所について

建設業の営業を行う事務所を有することが必要になります。建設工事を受注する体制が整っている事務所が営業所となります。建設業以外の経理業務や兼業しか行っていない事務所や、資材置き場、工事現場に臨時に置かれる工事事務所、作業所、事務連絡所などは、建設業許可の営業所には該当しません。

要件の確認として、新規申請などでは、事務所内や外観の写真の提出が必要になっています。事務所内の写真で、電話機や机などの事務機器が写っていないと不備になってしまうこともあるので注意が必要です。

ちゃんとした営業所を拠点に営業しているということが必要です。(バーチャルオフィスなどはダメです)

財産的基礎について

許可の取得には財産的基礎・金銭的信用を有することが必要となります。

※欠損の額とは、いわゆる欠損比率をいいます。以下の算式を満たしていなければなりません。
(マイナスの繰越利益剰余金-(資本剰余金+利益剰余金+繰越利益剰余金を除いたその他利益剰余金))÷資本金×100≦20%
なお、繰越利益剰余金がプラスの場合や、繰越利益剰余金がマイナスでも資本剰余金+利益剰余金+繰越利益剰余金を除いたその他利益剰余金がマイナスの繰越利益剰余金を上回る場合には、この計算は不要です。 
※流動比率75%以上とは、流動資産÷流動負債≧75% であることを満たす必要があります。

特定建設業許可の財産的基礎の要件は少しややこしいですが、ざっくりと、一般の許可では500万円以上の資金が必要になると覚えておきましょう。

要件の確認として、一般許可では個人事業主は500万円以上の預金の残高証明を提出することが多いです。法人では直前の財務諸表を提出することが多いです。(財務諸表では、自己資本が500万円以上であることが必要です)

誠実性について

建設業許可を受けようとするものは、「誠実性」を有することが必要です。ここでいう「誠実性」を有するとは、「許可申請を行うものが請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがないこと」です。 

・「不正な行為」とは、請負契約の締結または履行の際、詐欺や脅迫、横領などの違法な行為。
・「不誠実な行為」とは、工事内容や工期、天災などの不可抗力による損害の負担などについての請負契約の違反行為をいいます。 

ざっくり言うと、「申請者は誠実性をもって、請負契約に関し違法な行為や違反行為を行わないと約束してくださいね」ってことだと思います。

欠格要件について

許可を取得するにあたって、「欠格要件」というものがあり、以下のいずれかに該当するものは、許可を受けられません。

1 許可申請書又は添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき。

2 法人にあってはその法人の役員、個人にあってはその本人・支配人、その他支店長・営業所長等が、次のような要件に該当しているとき。

① 成年被後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ない者(法人の役員等及び個人の使用人を含む。)
② 不正の手段で許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等により、その許可を取り消されて5年を経過しない者(法人の役員等及び個人の使用人を含む。)
③ 許可の取り消しを逃れるために廃業の届出をしてから5年を経過しない者(法人の役員等及び個人の使用人を含む。)
④ 上記③の届出があった場合に、許可の取消処分に係る聴聞の通知の前60 日以内に当該法人の役員等又は個人の使用人であった者で、当該届出の日から5年を経過しない者(法人の役員等及び個人の使用人を含む。)
⑤ 営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
⑥ 営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者(法人の役員等及び個人の使用人を含む。)
⑦ 禁固以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(法人の役員等及び個人の使用人を含む。)
⑧ 建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員による不当な行為の防止に関する法律の規定に違反し、刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(法人の役員等及び個人の使用人を含む。) ⑨ 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が①から⑧のいずれかに該当する者 

次に示す法律の罪を犯した場合には、 その量刑が禁錮刑以上ではなく罰金刑であったときでも、建設業許可は取り消されます。

建設業法(罰金刑以上の全て)
・ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 (罰金刑以上の全て)
・ 刑法 (第204条 ・ 第206条 ・ 第208条 ・ 第208条の 2 ・ 第222条 ・ 第247条)
・暴力行為等処罰に関する法律(罰金刑以上の全て)
・建築基準法(第9条第1項又は10項前段の規定による特定行政庁又は建築監視員の命令に違反した場合に係る罰則)
・宅地造成等規制法(第14条第2項、3項又は4項前段に規定による都道府県知事の命令に違反した場合に係る罰則)
・都市計画法(第81条第1項の規定による国土交通大臣、都道府県知事又は市長の命令に違反した場合に係る罰則)
・景観法(第64条第1項の規定による市町村長の命令に違反した場合に係る罰則)
・労働基準法(第5条及び第6条の規定に違反した者に係る罰則)
・職業安定法(第44条の規定に違反した者に係る罰則)
・労働者派遣法(第4条第1項の規定に違反した者に係る罰則)


※駐車禁止や速度の出し過ぎといった軽い交通違反で反則金を支払った場合は、上記関連の罰金刑ではないので問題ありません。ただし、期日を過ぎても支払わず放置し続けたなど悪質な場合は、取り消し事由に該当する罰金刑に該当する可能性が高くなります。

上記のような要件に当てはまっていないことが必須です。もし欠格要件に当てはまるものがあるにも関わらずに、欠格要件に該当しないということで申請してしまうと虚偽申請となり、発覚した場合は許可の取り消しにもなりうるので要注意です。

申請される建設業者さんが欠格要件に該当しないかどうか、申請前にしっかり確認し、欠格要件に該当した場合は許可を受けれないということを説明しておきましょう。(もし、許可取得後に欠格要件に該当していたことが発覚し、許可取り消しなどになってしまうとお客様とトラブルに発展する可能性もあるので)

なお、欠格要件に該当しないことの確認書類として、本籍地のある役所で発行される「身分証明書」、法務局で発行される「登記されていないことの証明書」が必要になります。

その他の申請にあたっての注意事項

建設業許可の必要がない工事でも、他の法律により「登録」を行う必要がある場合があります。また許可をもっていたとしても、「みなし登録」の届出が必要な場合もあるので注意しましょう。

電気工事業登録

電気工事業を始めたい場合、
「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に基づき、登録または届出が必要になります。これは、「建設業許可の電気工事」を取得済であってもなくなても必要です。

建設業許可を取得していない場合 → 登録電気工事業者の登録
建設業許可を取得済の場合 → みなし登録の届出が必要


尚、変更届については建設業許可と違い、決算の届出や役員の就退任届、資本金変更届などは提出の必要はありません。
法人代表者の変更、営業所所在地の変更、建設業許可の更新などがあった場合は、変更の届出が必要になります。
 ※電気工事業における営業所とは電気工事の施工管理を行う店舗のことをいいます。     

解体工事業登録

解体工事を行う場合は、軽微な工事であっても都道府県ごとに登録が必要です。

また、解体工事の請負をする場合、元請人はもちろん、下請負人でもその工事請負金額の大小にかかわらず、「建設工事に係る資材の再資源化などに関する法律」に基づいて、「解体工事業」の登録が必要となります。登録には、施工管理技士などの資格が必要です。

ただし、解体工事業登録については、土木一式工事、建築一式工事、解体工事のどれかの許可を受けていれば、登録は不要です。

なお、登録後に「商号、所在地、役員、技術管理者等」に変更があった場合は変更届が必要になります。

浄化槽工事業者登録

浄化槽工事業とは、浄化槽の設置、又はその構造や規模の変更をする工事を行う事業をいいます。 
 
これらの工事を請け負う浄化槽工事業を営もうとする場合は、工事の規模や営業所の所在地とは関わりなく、実際に工事を行おうとする区域を管轄するすべての都道府県ごとにそれぞれの知事にあてて「登録」又は「届出」が必要となります。

ただし、浄化槽工事を含む建設工事を請け負う場合であっても、浄化槽工事を他の者に下請負させる場合は、届出は不要です。 

土木一式工事業、建築一式工事業又は管工事業の建設業許可を受けていれば特例浄化槽工事業の「届出」が必要です。

建設業許可をうけていない場合や、土木一式工事業、建築一式工事業又は管工事業の以外の建設業許可しか受けていなければ浄化槽工事業の「登録」が必要になります。

なお、登録後に「商号、所在地、役員、浄化槽設備士の氏名等」に変更があった場合、変更届が必要になります。

最後に

以上、建設業許可の基本的な内容をざっと解説しましたが、いかがでしたでしょうか? わかりにくい部分もあったと思いますが、理解を深める1番の方法は実際に建設業許可の仕事を受けてみることだと思います。

私は建設業許可について知りたくて、行政書士として本格的に活動する前に少しの間、大阪府の建築振興課で働いてみました。その時に書類の確認や問い合わせの対応などの作業に携わったのですが、その経験で学んだことが今の行政書士としてのキャリアに活かせていると思います。

学んだことは無駄にはなりません。新人行政書士の方は、先輩方に聞きながらでもいいと思いますので、ぜひ一度建設業許可の仕事に取り組んでみてください。

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この記事を書いた人

平成28年開業。
大阪市中央区の行政書士事務所です。
建設業許可等の申請代行を中心に取り扱っております。

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