2021年4月より、1級技士補が経営事項審査の加点対象へ

2021年4月より、1級技士補 が経営事項審査の技術職員として加点対象になっています。
(1級建設機械施工技士補、1級土木施工管理技士補等)

れと川さん

尾西先生、4月から1級技士に加えて「1級技士補」も経営事項審査の加点対象になったんですか?

尾西行政書士

はい、1級技士補も加点の対象になりました 今回は1級技士補の加点の条件についてや 技士補が導入された背景などについて解説していきます

目次

1級技士補とは?1級技士との違いについて

1級技士補は、2021年4月から施行された資格になります。施工管理技士試験には、「学科試験」と「実地試験」がありますが、1級技士補とは施工管理技士試験の「学科試験」のみの合格者になります。

学科試験及び実地試験の両方の合格者は、1級技士の資格を得ることができます。
( 1級建設機械施工技士、1級土木施工管理技士等 )

1級技士 → 学科試験と実地試験の両方に合格する必要あり

1級技士補 → 学科試験のみ合格でOK(実地試験は不合格でも可)

従来は学科試験に合格した場合でも実地試験に不合格であれば何の資格も得られませんでしたが、今回の改正において、学科試験合格者は技士補の資格を得れるようになりました。

れと川さん

学科試験の合格者であれば技士補になることができるんですね

尾西行政書士

そうです、技士補は学科試験に通ればOKです なお2023年に改正される経営事項審査の内容については下記ブログにてまとめています

経営事項審査での加点について

1級技士補については、経営事項審査においても加点対象となりました。

有資格区分コード:005 点数:4点

ただし国土交通省の手引きによると、「1級技士補の資格を有するだけでは監理技術者の職務を補佐する者とはならず、主任技術者の要件も満たす必要があります」と記載がありますので、1級技士補+国家資格又は実務経験等の主任技術者の要件を有していることが加点の前提になっているようです。

技士補は技士補の資格主任技術者の要件も満たしていることが必要

れと川さん

加点対象になるには、技士補であることに加えて主任技術者の要件も備えておかないといけないんですね

尾西行政書士

そうですね、技士補を技術職員名簿に記載する場合は、主任技術者(配置技術者)の要件も満たすように備えておきましょう

1級技士補を加点対象とする確認資料等

経営事項審査で1級技士補を加点対象にするには、以下の確認資料が必要です。

確認資料等
・1級技士補の施工管理技士試験、第一次検定合格証明書の写し
・他の技術職員と同様に常勤性の確認書類(標準報酬決定通知書写し、保険証写し等)
(合格証明書が届いていない場合は第一次検定の合格通知書等の写しでも一旦受付してくれる場合もありますが、後から合格証明書を提出するように言われることが多いようです)

4点の加点は大きいので、1級技士補の方がいらっしゃれば必ず加点できるように準備しましょう。
尚、1級技士補の方も加点対象にするには通常と同じく6ヵ月を超える恒常的な雇用関係が必要となります。

れと川さん

技士補を技術職員名簿に載せるときは、技士補の確認書類とは別に主任技術者の要件の確認書類も必要なんでしょうか?

尾西行政書士

申請先によっては主任技術者の要件も備えていることを疎明するように求められる場合があります、国家資格を保有している場合はその資格の免状の写しを提出したり、実務経験の場合は実務経験がある旨を伝えたりするなどです(関東地方整備局の場合は実務経験証明書を求められる可能性もあります)

2級技士補の経審加点の有無について

施工管理技士に1級と2級があるように、技士補にも1級と2級があります。2022年現在では、 2級技士補は経審の技術職員としては加点の対象ではありません。

2級技士補は技術職員としては加点にはならない。

ただし今回の改正で追加されたCPD単位の取得数に応じた「社会性(W)」の加点において、2級技士補が取得したCPD単位は評価対象になります。CPDについては下記の記事で解説しています。

れと川さん

1級技士補と違って、2級技士補については技術職員としては加点にならないんですね

尾西行政書士

その通りです、2級技士補は技術職員としては現状加点の対象にならないと覚えておきましょう

技士補は一定の実務経験があれば専任技術者や配置技術者としても認められる

令和5年7月1日の改正により専任技術者の要件が緩和され、技士補は一定の実務経験があれば、専任技術者や配置技術者として認められるようにもなりました。(指定建設業7業種と電気通信工事業は除く)

なお、必要な実務経験の期間は、1級の1次検定合格者が3年、2級の1次検定合格者が5年となっています。

れと川さん

なるほど、1次検定を合格すれば、指定学科卒業のように実務経験期間の短縮が認めれるようになったんですね

尾西行政書士

人材不足に対する対応策の一つかと思います

技士補の資格が導入された背景と監理技術者の配置義務の緩和

技士補ができた背景としては、深刻な人手不足が挙げられます。建設業界は現在、若手が入ってないので人材の高齢化が進んでおり慢性的な人手不足に悩んでいます。

今回の改正は人手不足の緩和措置の一つとして行われたのだと思われます。1級技士補がいると監理技術者の配置義務が緩和されます。従来、下請契約の請負金額が4000万円以上の工事(建築一式は6000万円以上の工事)は1現場に1人の監理技術者(1級の施工管理技士)が必要でした。

ですが今回の改正で監理技術者を専任で配置されなければならなかった工事現場に、技士補を専任の技術者として置くことで監理技術者が2つの工事現場を兼任できるようになったのです。つまり問題となっている建設業界の人手不足を補うことができる制度として、導入されたのです。

れと川さん

配置義務が緩和されたのはいいですが、建設業界の若手不足は問題になっているんですね…

尾西行政書士

建設業界に限った話ではありませんが、若手の人材不足というのは深刻な問題ですね

尾西行政書士

なお、経営事項審査について、点数の上げ方やポイントについては下記の記事にまとめていますので、よろしければご参照ください

まとめ

〈まとめ〉
・1級技士補は4点の加点対象
・2級技士補は技術職員としては、加点対象にならない
・1級技士補がいると、監理技術者の配置義務が緩和される

・技士補は一定の実務経験があれば、専任技術者や配置技術者として認められる

尾西行政書士

弊所でも経営事項審査申請の代行を承っておりますので、経営事項審査でお困りの方はお問合せください。

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この記事を書いた人

平成28年開業。
大阪市中央区の行政書士事務所です。
建設業許可等の申請代行を中心に取り扱っております。

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