建設業の「欠格要件」とは、欠格要件に該当する罰金や、執行猶予、自己破産の欠格要件等についても解説

建設業許可には「欠格要件」があり、欠格要件に該当すると許可がを取得することができず、すでに許可を受けている場合は許可が取り消しになってしまいます。

以前に大手NECさんの令3条使用人の方が欠格要件に該当したため、建設業許可を自主的に廃業されるという出来事がありました。

鹿野行政書士

尾西先生、欠格要件に該当してしまうと建設業許可を維持できなくなるんですか?

尾西行政書士

そうです、建設業者さんであれば、欠格要件について正確に把握しておくことが大事になりますね

鹿野行政書士

では欠格要件について詳しく教えてもらえますか?

尾西行政書士

わかりました、今回は欠格要件について解説します

目次

欠格要件とは

欠格要件とは、以下のものになります

1 許可申請書又は添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき。

2 申請者本人等が次のような要件に該当しているとき。
<法人の場合は、取締役や令3条使用人(支店長等)、株主等>
<個人の場合は、本人、支配人、その他支店長・営業所長等>

① 成年被後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ない者
② 不正の手段で許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等により、その許可を取り消されて5年を経過しない者
③ 許可の取り消しを逃れるために廃業の届出をしてから5年を経過しない者
④ 上記③の届出があった場合に、許可の取消処分に係る聴聞の通知の前60 日以内に当該法人の役員等又は個人の使用人であった者で、当該届出の日から5年を経過しない者
⑤ 営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
⑥ 営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
⑦ 禁固以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日※から5年を経過しない者
⑧ 建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの※、若しくは暴力団員による不当な行為の防止に関する法律の規定に違反し、刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

⑨ 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が①から⑧のいずれかに該当する者 

※⑦の「その刑の執行を受けることがなくなった日」とは、仮釈放されて刑期が過ぎた場合や時効が成立した場合などが考えられます。

※⑧ の「建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの」とは下記のようなものが該当します。
・建設業法(罰金刑以上の全て)
・ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 (罰金刑以上の全て)
・ 刑法 (第204条 ・ 第206条 ・ 第208条 ・ 第208条の 2 ・ 第222条 ・ 第247条)
・暴力行為等処罰に関する法律(罰金刑以上の全て)
・建築基準法(第9条第1項又は10項前段の規定による特定行政庁又は建築監視員の命令に違反した場合に係る罰則)
・宅地造成等規制法(第14条第2項、3項又は4項前段に規定による都道府県知事の命令に違反した場合に係る罰則)
・都市計画法(第81条第1項の規定による国土交通大臣、都道府県知事又は市長の命令に違反した場合に係る罰則)
・景観法(第64条第1項の規定による市町村長の命令に違反した場合に係る罰則)
・労働基準法(第5条及び第6条の規定に違反した者に係る罰則)
・職業安定法(第44条の規定に違反した者に係る罰則)
・労働者派遣法(第4条第1項の規定に違反した者に係る罰則)

鹿野行政書士

申請書で嘘を書いたり、法人の役員や個人事業主などが、一定の条件に該当するとダメなんですね

尾西行政書士

一定の法律で「罰金刑」などを課された場合も許可が取得できないので気をつけましょう

鹿野行政書士

交通違反で罰金を払った場合も該当してしまうのですか?

尾西行政書士

罰金については次の段落で詳しく説明しますね

欠格要件に該当する「罰金」とは

欠格要件に該当する「罰金」とは、建設業法違反や刑法違反などの一定の法律での罰金や、暴力行為等で処罰され罰金をかされた場合等が該当します。

駐車違反や速度の出し過ぎといった軽い交通法違反で支払いするお金(過料)が罰金と呼ばれることがありますが、駐車違反や速度違反などの軽度の違反に課される過料は正確には「罰金」ではなく、「反則金」となります。

〈交通違反で「反則金」が課されるケース〉
駐停車違反、信号無視、一時停止違反、速度超過(30km/h未満)など

〈交通違反で「罰金刑」が課されるケース〉
危険運転致死・酒酔い運転・麻薬等運転・無免許運転などにより、刑事事件として立件された場合

交通法違反の反則金を支払った場合は、欠格要件の「罰金刑」ではないので欠格要件には該当しません。ただし、反則金であっても期日を過ぎても支払わず放置し続けたなど悪質な場合は、立件されて罰金刑以上の量刑に該当してしまうこともあるので注意しましょう。

鹿野行政書士

なるほど、駐車違反などで支払いする過料は反則金になるので、欠格要件には該当しないわけですね

尾西行政書士

ただし、反則金を支払いせずに放置すると、刑事事件として立件されてしまうこともあるので気をつけましょう

執行猶予期間中は欠格要件に該当するか

執行猶予の期間中は、欠格要件に該当し、執行猶予期間中は建設業許可取得することはできません。執行猶予の期間が終了したときに欠格要件から外れることとなり、取得が可能になります。

罰金刑などは、刑の執行が終了してから5年経過しないと、建設業許可の取得ができませんが、執行猶予の場合は期間が終了したときに欠格要件から外れるので、執行猶予が終了してから5年経過する必要はありません。

〈執行猶予の欠格要件について〉
執行猶予期間中 → 欠格要件に該当し、建設業の取得はできない
執行猶予期間終了 → 欠格要件に該当せず、建設業の取得ができる

鹿野行政書士

執行猶予が終了してから5年ではなく、執行猶予が終了すれば、欠格要件に該当しないのですね

尾西行政書士

その通りです

自己破産した場合は欠格要件に該当するか

自己破産した場合、過去の自己破産は問題ないですが、現在破産手続き中であれば欠格要件に該当します。破産の申告をした場合、裁判所は数ヶ月程度で免責手続きを行います。免責決定がでた時点で「復権」となります。

「復権」が完了していれば欠格要件から外れることになります。復権とは破産者の法的地位を回復させることを指し、 具体的には自己破産の手続き中に制限されている資格や職業の制限を解除することを言います。

〈自己破産した場合の欠格要件について〉
自己破産手続き中の場合 → 欠格要件に該当し、建設業の取得ができない
自己破産申告後に復権を得た場合 → 欠格要件に該当せず、建設業の取得ができる

鹿野行政書士

過去に自己破産したことがあり、許可を取得できるかを気になさる方が稀にいらっしゃるみたいですね

尾西行政書士

自己破産は手続き中でなければ問題ありません

まとめ

<まとめ>
・法人の場合は役員や令3条使用人、株主等が欠格要件に該当した場合、許可を維持できない
・個人の場合は本人・支配人、その他支店長・営業所長等などが欠格要件に該当した場合、許可を維持できない
・欠格要件に該当する「罰金」とは、建設業法違反や刑法違反などの一定の法律での罰金や、暴力行為等で処罰され罰金をかされた場合等が該当する
・交通法違反の反則金を支払った場合は、欠格要件の「罰金刑」ではないので欠格要件に該当しない。
・反則金であっても期日を過ぎても支払わず放置し続けたなど悪質な場合は、立件されて罰金刑に該当してしまうこともある。
・執行猶予の期間中は、欠格要件に該当し、執行猶予期間中は建設業許可取得することはできまない。執行猶予の期間が終了したときに欠格要件から外れることとなり、取得が可能
・現在破産手続き中であれば欠格要件に該当する
・破産手続きを終えて、免責決定がでた時点で「復権」となり欠格要件から外れる

尾西行政書士

当事務所でも建設業許可申請を承っております

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この記事を書いた人

平成28年開業。
大阪市中央区の行政書士事務所です。
建設業許可等の申請代行を中心に取り扱っております。

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