建設業許可では、経営業務管理責任者や専任技術者などに常勤性が求められますが、常勤性とはどのようのものでしょうか?
尾西先生、「常勤性」って申請のときにネックになることがたまにありますよね
そうですね、常勤性がないと経営業務管理責任者や専任技術者にはなれないですからね、新規申請や変更届でも気をつけたいポイントです。
では常勤性について、詳しく教えて頂けますか?
わかりました、今回は常勤性について解説していきます
常勤性とは
「常勤性」とは労働者がある企業や団体に対して定期的に勤務することが求められる労働形態のことを指します。
具体的には一定の期間、週に何日か、一日何時間など、あらかじめ定められた勤務時間・勤務日数・勤務期間などを基準に、労働契約によって定められた仕事を行うことが求められます。パートタイムや日雇い労働者などは常勤性のある雇用形態とは言えません。
なお、建設業許可では常勤性の確認が求められるのは下記の役職2つです。
ちなみに令3条使用人については常勤性の確認までは求められていませんが、建設業許可事務ガイドラインでは「当営業所において休日その他勤務を要しない日を除き一定の計画のもとに毎日所定の時間中その職務に従事している者がこれに該当する」とあるので令3条使用人も実質は常勤の方でないと難しいと思われます。
やはり、その会社に専属しないと常勤があるとは言えないんですね
そうですね、経管や専技などは2つ以上の会社で兼務することは禁止されています。
常勤性の証明と確認書類について
常勤性を証明するには確認書類を提出または提示する必要がありますが、確認書類としては、関東地方整備局や近畿地方整備局では「健康保険証」が必要とされています。
他の都道府県では「標準報酬決定通知書」及び「健康保険証」が必要になる場合が多いと思います。何らかの事情で準備できない場合は、「住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用及び納税義務者用)」で確認してくれる場合もあります
確認書類も申請先によって異なったりするんですね
そうですね、申請する際はしっかり確認しておきましょう
常勤性が必要とされる役職の給与について
大阪府では常勤性の確認として、最低でも10万円程度の給与があることが条件とされています。ですので経営業務管理責任者や専任技術者になる方の給与が10万円に満たない程度ですと本当に常勤しているのか確認される可能性が高いです。
最低賃金から考えても、常勤されている方の給与が10万円未満とは考えにくいので他の都道府県でも極端に給与が低い方だと常勤性を疑われる可能性はあると思います。
給与にも最低の目安があるんですね
その通りです
遠方に住んでいる場合でも常勤性は認められるか?
遠方に住んでいても常勤性が認められるケースはあります。前に伺ったケースで静岡県にすんでいる技術者が東京都の営業所の専任技術者になっていたケースがありました。
その会社は大臣許可を持つ会社でしたが、専任技術者の変更届を行った際に東京営業所の専任技術者の住所が静岡になっていた為に、整備局の担当者から確認があったそうです。
その方は実際に静岡から毎日新幹線に乗って営業所に通っている人だったので、その旨伝えたところ特に問題はなかったようです。
営業所と多少離れている場所に住んでいる技術者を専任技術者とする場合でも、実際に営業所に常勤し、職務に専念している事実があるのであれば特に問題はないと思われます。
ただし、極端に営業所から離れている場所に住んでいる方を専任技術者にする場合や、営業所に常勤している事実が怪しまれる場合などは、通勤の定期券などを証明になるものを追加で提示するようにめられる可能性があります。
遠方であっても通勤の事実が証明できれば、常勤性は認めらるのですね
遠方でも実際に通っていらっしゃるのであれば問題ありません
経営業務管理責任者の常勤性について
経営業務管理責任者には常勤性があることが前提となりますが、経営経験の期間についても常勤であったことが条件になります。
例えば建設業許可会社での役員経験期間があったとしても、経営経験があったと認められるのは常勤役員だった期間に限られます。非常勤の役員であった期間については、経営業務管理責任者の経営期間とは認められないので注意が必要です。
なるほど、経営を経験した期間も常勤であったことが求められるのですね
そうですね、役員経験があっても非常勤の期間は経営期間として認められないので注意が必要です
まとめ
当事務所でも新規申請や更新申請、変更届等を承っております