指導監督的実務経験とは、要件や実務経験証明書の書き方など、詳しく解説

特定許可を申請する場合に、指定7業種以外の業種については、「一般の専任技術者要件+指導監督的実務経験」があれば、特定の専任技術者になれるとされています。

鹿野行政書士

お客様から「指導監督的実務経験」について聞かれたのですが、上手く答えれなくて…

尾西行政書士

通常の実務経験とは定義が異なるので、内容を知っておかないと、ちゃんと答えるのは難しいですね

鹿野行政書士

では尾西先生、指導監督的実務経験について、詳しく教えてもらえますか?

尾西行政書士

わかりました、今回は指導監督的実務経験について詳しく解説します

目次

指導監督的実務経験の要件について

一般建設業の専任技術者の要件しか満たしていない人であっても、国土交通省の規定によると、「主任技術者資格に加え、“元請として請負代金額4,500万円以上の工事において、2年以上の指導監督的な実務経験”により、監理技術者になることが可能(指定建設業以外)」となっています。

<一般建設業の専任技術者の要件しか満たしていない者が監理技術者になるための要件>
元請代金4,500万円以上の工事において、2年以上の「指導監督的実務経験」があること
※指定建設業7業種を除く

では、指導監督的実務経験とは、どのようなものになるでしょうか?国土交通省の建設業許可事務ガイドラインの規定によると「指導監督的な実務の経験とは、建設工事の設計又は施工の全般について、工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいう。」と規定されています。

<指導監督的実務経験とは>
建設工事の設計又は施工の全般について、工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験

鹿野行政書士

「工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場」というのは、具体的にはどのような立場の人が該当するのでしょうか?

尾西行政書士

次の段落で説明しますね

工事現場主任、工事現場監督者のような立場とは

指導監督的実務経験の要件として、建設業許可事務ガイドラインの第15条関係において、「工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場」という記載がでてきますが、具体的には下記のような立場の方が該当するようです。

<工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場とは>
・工事現場主任者
・工事現場監督者
・主任技術者
・施工監督 

・現場代理人など
※現場代理人とは、公共工事や比較的規模の大きい工事の場合に工事の管理や工事請負金額の変更、請求、交渉などや施工に関わる多くの事柄に対応する人

ガイドラインでは、どこまでの立場が「工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場」に該当するかは具体的には明示されていませんが、例えば施工体制台帳に記載されるような工事に対して一定の責任を持つと認められる立場の方であれば、該当する可能性が高い思われます。

稀に、「指導監督的実務経験を記載するには、その工事の配置技術者でなくてはダメですか?」という質問を受けますが、必ずしも配置技術者である必要はありません。

鹿野行政書士

なるほど、配置技術者でなくとも、「工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場」と認められるケースはあるんですね

尾西行政書士

その通りです

指導監督的実務経験証明書の書き方、記載例について

指導監督的実務経験証明書の書き方についてですが、大阪府の手引きでは、下記のような記載例が掲載されています。

※大阪府手引きより抜粋

書き方のポイントとして、各工事期間の積算で2年以上の経験が必要になりますので、各工事の期間の合計が2年以上が必要になります。

また工事1件につき確認書類として、工事契約書や注文書等の確認書類が必要になります。

鹿野行政書士

実務経験で専任技術者になっている場合、実務経験の期間と指導監督的実務経験の期間は重複しても問題ないんですか?

尾西行政書士

はい、期間が重複した場合でも、両方の期間を算定することができます

指導監督的実務経験の確認書類について

指導監督実務経験の確認書類としては、工事契約書や注文書等の写しが必要になります。

1件1件確認されることになるので、指導実務経験証明書に記載するすべての工事の工事契約書、注文書等の写しを準備するようにしましょう。(場合によっては、請求金額の振込の事実を確認されることもあります)

<指導監督実務経験の確認書類>
記載したすべとの工事の契約書または注文書、注文請書等の写し

また、建設業許可を取得済であっても、通常の実務経験とは違い工事経歴書では確認資料になりませんので、注意しましょう。

鹿野行政書士

記載するすべての工事の確認書類が必要なんですね

尾西行政書士

しっかり準備しておきましょう

まとめ

<まとめ>
・主任技術者資格に加え、“元請として請負代金額4,500万円以上の工事において、2年以上の指導監督的な実務経験”により、監理技術者になることが可能(指定建設業以外)
・指導監督的な実務の経験とは、建設工事の設計又は施工の全般について、工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいう
・「工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場」に該当するかは具体的には明示されていないが、施工体制台帳に記載されるような工事に対して一定の責任を持つと認められる立場の方であれば、該当する可能性が高い
・配置技術者でなくとも、「工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場」と認められるケースはある
・指導監督実務経験には各工事期間の積算で2年以上の経験が必要になるので、各工事の期間の合計が2年以上が必要
・実務経験で専任技術者になっている場合、実務経験の期間と指導監督的実務経験の期間は重複しても問題ない
・指導監督実務経験の確認書類としては、工事契約書や注文書等の写しが必要になる

尾西行政書士

当事務所では建設業許可の代行申請を行っています

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この記事を書いた人

平成28年開業。
大阪市中央区の行政書士事務所です。
建設業許可等の申請代行を中心に取り扱っております。

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