2021年4月より、1級技士補 が経営事項審査の技術職員として加点対象になっています。
(1級建設機械施工技士補、1級土木施工管理技士補等)
尾西先生、1級技士に加えて「1級技士補」も経営事項審査の加点対象になったのですか?
2021年4月から1級技士補も加点の対象になりました、また令和5年7月1日以降は2級技士補も加点対象になっています
今回は技士補の加点の条件についてや、技士補が導入された背景などについて解説していきます
1級技士補とは? 1級技士との違いについて
1級技士補は、2021年4月から施行された資格になります。施工管理技士試験には、「学科試験」と「実地試験」がありますが、1級技士補とは施工管理技士試験の「学科試験」のみの合格者になります。
学科試験及び実地試験の両方の合格者は、1級技士の資格を得ることができます。
( 1級建設機械施工技士、1級土木施工管理技士等 )
従来は学科試験に合格した場合でも実地試験に不合格であれば何の資格も得られませんでしたが、今回の改正において、学科試験合格者は技士補の資格を得れるようになりました。
学科試験の合格者であれば技士補になることができるんですね
そうです、技士補は学科試験に通ればOKです なお2023年に改正される経営事項審査の内容については下記ブログにてまとめています
経営事項審査での1級技士補の点数(主任技術者要件を満たす場合)
1級技士補については、経営事項審査においても加点対象となりました。1級技士補+国家資格などで主任技術者要件をみたす技士補については、4点が加点されます。
1級技士補+国家資格又は実務経験等の主任技術者の要件を有していることが4点加点の条件
主任技術者要件を満たさない場合は加点対象にならないのですか?
主任技術者要件を満たさない場合については、次の段落で説明しますね
経営事項審査での1級技士補の点数(主任技術者要件を満たさない場合)
技士補の経審での加点については、以前までは主任技術者要件を満たしていないと加点対象になりませんでしたが、審査基準の改正があり審査基準日が令和5年7月1日以降の経審申請については、3年以上の実務経験があれば、1点の加点になります。
1級技士補が主任技術者要件を満たさない場合、実務経験3年以上が1点加点の条件
技士補が主任技術者要件を満たさない場合でも、3年の実務経験があれば加点対象になるのですね
その通りです
2級技士補の経審での加点について
施工管理技士に1級と2級があるように、技士補にも1級と2級があります。審査基準の改正があり審査基準日が令和5年7月1日以降の経審申請については2級技士補も5年の実務経験があれば、1点の加点対象となりました。
2級技士補に実務経験5年以上があれば1点加点の条件
またCPD単位の取得数に応じた「社会性(W)」の加点において、2級技士補が取得したCPD単位は評価対象になります。CPDについては下記の記事で解説しています。
2級技士補についても技術職員として加点対象になるんですね
2級技士補も実務経験があれば、加点対象になります
技士補を加点対象とする確認資料等
経営事項審査で技士補を加点対象にするには、以下の確認資料が必要です。
技士補の方がいらっしゃれば必ず加点できるように準備しましょう。尚、技士補の方も加点対象にするには通常と同じく6ヵ月を超える恒常的な雇用関係が必要となります。
4点加点の主任技術者要件を備えた技士補を技術職員名簿に載せる場合は、技士補の確認書類とは別に主任技術者の要件の確認書類も必要なんでしょうか?
申請先によっては主任技術者の要件も備えていることを疎明するように求められる場合があります
国家資格を保有している場合は、その資格の免状の写しを提出したり、実務経験の場合は実務経験がある旨を伝えたりするなどです(関東地方整備局の場合は実務経験証明書を求められる可能性もあります)
技士補は一定の実務経験があれば専任技術者や配置技術者としても認められる
令和5年7月1日の改正により専任技術者の要件が緩和され、技士補は一定の実務経験があれば、専任技術者や配置技術者として認められるようにもなりました。(指定建設業7業種と電気通信工事業は除く)
なお、必要な実務経験の期間は、1級の1次検定合格者が3年、2級の1次検定合格者が5年となっています。
なるほど、1次検定を合格すれば、指定学科卒業のように実務経験期間の短縮が認めれるようになったんですね
人材不足に対する対応策の一つかと思います
技士補の資格が導入された背景と監理技術者の配置義務の緩和
技士補ができた背景としては、深刻な人手不足が挙げられます。建設業界は現在、若手が入ってないので人材の高齢化が進んでおり慢性的な人手不足に悩んでいます。
今回の改正は人手不足の緩和措置の一つとして行われたのだと思われます。1級技士補がいると監理技術者の配置義務が緩和されます。従来、下請契約の請負金額が4500万円以上の工事(建築一式は7000万円以上の工事)は1現場に1人の監理技術者(1級の施工管理技士)が必要でした。
ですが今回の改正で監理技術者を専任で配置されなければならなかった工事現場に、技士補を専任の技術者として置くことで監理技術者が2つの工事現場を兼任できるようになったのです。つまり問題となっている建設業界の人手不足を補うことができる制度として、導入されたのです。
配置義務が緩和されたのはいいですが、建設業界の若手不足は問題になっているんですね…
建設業界に限った話ではありませんが、若手の人材不足というのは深刻な問題ですね
なお、経営事項審査について、点数の上げ方やポイントについては下記の記事にまとめていますので、よろしければご参照ください
まとめ
〈まとめ〉
・1級技士補は主任技術者要件があれば4点、3年の実務経験があれば1点の加点対象
・2級技士補は5年の実務経験があれば、1点の加点対象
・1級技士補がいると、監理技術者の配置義務が緩和される
・技士補は一定の実務経験があれば、専任技術者や配置技術者として認められる
弊所でも経営事項審査申請の代行を承っておりますので、経営事項審査でお困りの方はお問合せください。