建設業許可の株主とは、変更した場合や欠格要件について

建設業許可では一定の株主が役員等に含まれるとしています。ではこの「株主」にはどのような場合に該当するのでしょうか?

鹿野行政書士

尾西先生、建設業許可では株主も欠格要件に該当してはいけないんですよね?

尾西行政書士

そうですね、株主も「役員等」に含まれる解釈になっていますので、欠格要件に該当しないことが求められます

鹿野行政書士

株主についてはあまりわかってないんですが、詳しく教えてもらえますか?

尾西行政書士

わかりました、今回は建設業許可の株主について詳しく解説します

目次

建設業許可における株主とは

建設業許可における株主とは、「法人でかつ株式会社である場合にあっては、総株主の議決権の100 分の5 以上を有する株主、その他の法人にあっては、出資の総額の100分の5以上に相当する出資をしている者」と定義されています。つまり総株数の5%以上を保有する株主は役員と同様に届出が必要とされているのです。

<建設業許可の株主とは>
株式会社の総株数5%以上を保有する者

よって株式会社では、新規申請の際にも株主に変更があった場合でも届出が必要になります。

鹿野行政書士

株式会社で5%以上の株主については、届出がいるんですね、株主が法人であった場合、5%以上の株主である法人も「役員等」に該当するんですか?

尾西行政書士

5%以上の株主であれば、法人も株主調書に記載は必要ですが、申請者の「役員等」には該当しません。

尾西行政書士

「役員等」に含まれるのは、「総株数の5%以上の自然人の株主」と覚えておくといいでしょう

株主を変更した場合

建設業許可持っている株式会社は、自社の株主等に変更があった場合、30日以内に変更届を提出しなければいけません。変更届が必要になるのは次の2つのケースです。

<株主の変更届が必要な場合>
1.新たに株主等に該当した場合
2.保有株式が株主総数の5%未満となり、株主等に該当しなくなった場合

1.2にどちらかに該当した場合は、役所へ変更届の提出が必要になります。新たに株主に該当する方がいらっしゃる場合や株主に該当しなくなった方がいる場合は、速やかに変更届を提出するようにしましょう。

もし株主の変更届を忘れていると、更新申請時に更新の受付ができないなどの問題が生じることがあります。更新時に変更届の提出を忘れていた時は役所の担当者にその旨を説明し、速やかに変更届を提出するようにしましょう。

なお、持ち株数に変動があった場合、変更後も5%以上を保有されていれば変更届は不要です。

<株主の変更届が不要な場合>
1.持ち株数に変更があったが、変更後も5%以上を保有している場合
2.株主の住所や氏名に変更があった場合 など

鹿野行政書士

株主の住所や名前などの情報に変更があった場合は特に届出はいらないんですね

尾西行政書士

その通りです、次回の更新申請時に書類に変更後の住所や名前を記載すればOKです

株主の欠格要件

建設業許可には「欠格要件」というものがあり、欠格要件のいずれかに該当するものは許可を受けられず、または許可の取り消しの対象になります。

役員等が欠格要件に該当してはいけないことになっていますが、株主もこの「役員等」に含まれますので、株主が欠格要件に該当していないか注意が必要です。

欠格要件は下記の内容になります。

<欠格要件>
1 許可申請書又は添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき。
2 法人にあってはその法人の役員、個人にあってはその本人・支配人、その他支店長・営業所長等が、次のような要件に該当しているとき。
① 成年被後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ない者(法人の役員等及び個人の使用人を含む。)
② 不正の手段で許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等により、その許可を取り消されて5年を経過しない者(法人の役員等及び個人の使用人を含む。)
③ 許可の取り消しを逃れるために廃業の届出をしてから5年を経過しない者(法人の役員等及び個人の使用人を含む。)
④ 上記③の届出があった場合に、許可の取消処分に係る聴聞の通知の前60 日以内に当該法人の役員等又は個人の使用人であった者で、当該届出の日から5年を経過しない者(法人の役員等及び個人の使用人を含む。)
⑤ 営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
⑥ 営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者(法人の役員等及び個人の使用人を含む。)
⑦ 禁固以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(法人の役員等及び個人の使用人を含む。)
⑧ 建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員による不当な行為の防止に関する法律の規定に違反し、刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(法人の役員等及び個人の使用人を含む。)

⑨ 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が①から⑧のいずれかに該当する者 

上記の内容にどれか一つでも該当してしまうと許可の取り消し事由になってしまうので、注意が必要です。

鹿野行政書士

許可の取消事由にもなるので、株主が欠格要件に該当しないかどうかは要注意ですね

尾西行政書士

なお、株主については「登記されていないことの証明書」や「身分証明書」の証明書類の提出は必要ありません。

まとめ

<まとめ>
・建設業許可の株主とは株式会社の総株数5%以上を保有する者
・株主等に該当しなくなった場合や新たに株主に該当した場合は届出が必要
・持ち株数に変更があっても変更後も5%以上を保有している場合や株主の住所や氏名に変更があった場合などは届出は不要
・株主が欠格要件に該当していないか注意が必要
・株主については「登記されていないことの証明書」や「身分証明書」の証明書類の提出は必要ない

尾西行政書士

当事務所でも建設業許可の申請を承っております

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この記事を書いた人

平成28年開業。
大阪市中央区の行政書士事務所です。
建設業許可等の申請代行を中心に取り扱っております。

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