新人の行政書士の方が向き合う大きな問題として、「どのように営業していけばいいか、どのように顧客を獲得すればいいか」ということがあると思います。営業活動の方法については頭を悩ます方も多いのではないでしょうか?
開業したての方から「どのように顧客を獲得していますか?」と聞かれることが多く、僕自身も悩んだことなので今回は僕が現状考える営業の仕方や顧客獲得方法についてまとめてみました。
営業活動で悩んでいる方へ少しでも集客のヒントになればと思いこれまでの経験をもとに書きましたので、最後まで読んで頂ければ幸いです。


事務所のホームページをつくる。
新人行政書士のみなさんは事務所のホームページは持たれていますか? 持っていないという方はすぐ作成してください。今は大したお金をかけずともホームページを自作できる方法が沢山あります。とりあえずは本格的なホームページをつくるまでの簡易的な一時しのぎのものになったとしても、ないよりはあったほうがいいので。
開業したての頃は僕もホームページをもっておらず、ある先輩の先生に「営業のコツを教えてくだい」と聞いたところ、事務所のホームページを持っているかと聞かれ、持っていないと答えると「じゃあ、ダメだ笑」と鼻で笑われてしまいました。
「何がダメなのか、ホームページを持ってどうすればいいのかを聞きたいのに…」と当時は反感を持ったのですが、あの先生がいった事が今なら理解できます。
ホームページはないとダメなのです。何がダメなのか?新人の方がこれから沢山の競合他社と競っていく上でホームページというツールがないというのは圧倒的に不利になってしまうからです。
ホームページの重要な役割は次の2点だと思います。
<信頼性の担保>
例えばあなたが名刺を渡した方があなたに何らかの仕事をお願いしようとしたときに、「まずは事務所のホームページをみてみよう」となることは結構多いです。インターネットで調べても事務所の情報がまったくでてこなければ、「やっぱり依頼するのはやめておこうかな」ということにもなりかねません。事務所の信頼性を高めるためにもしっかりとしたホームページをつくっておきましょう。まだホームページをもっていない場合は、とりあえずはフリーのホームページなどで仮のホームページのような簡易なものでもいいのでホームページを作っておいたほうがいいです。
<事務所の営業マン>
ホームページは24時間働いてくれる営業マン的な側面があります。僕の事務所でもホームページをみて問い合わせ頂けるお客さまが多いです。ただし作ってすぐに集客ができるようなホームページはなかなかありません。むしろ作ったあとの育て方(運用の仕方)が大事で、ホームページを集客できる優秀な営業マンに育てるにはそれなりの労力と時間がかかります。ホームページでの集客については次のSEO対策の項目で説明していきたいと思います。


これからホームページを作られるのであれば、個人的にはワードプレスというCMSを使って作成するのがお勧めです。(CMSとはざっくりいうとホームページの一元管理システムみたいなもの)
ワードプレスなどのCMSをつかえばプログラミングなどの専門的な知識がなくてもある程度自由にホームページの作成が可能だと言われています。このホームページもワードプレスを使って自分で作成しています。
なぜワードプレスがお勧めかと言うと、見栄えの良いホームページが作りやすく、SEO対策(集客対策)が比較的に行いやすいからです。ただし、プログラミングなどの専門知識がいらないとはいえ、ワードプレスで1からホームページを作るのはある程度ワードプレスに関する知識がいります。
初心者の方がワードプレスを使ってのホームページ作成をするなら、本などで基礎知識を学習するか、独学での作成に自信がない方はホームページ作成を手伝ってくれるワードプレス講座なんかもあるので利用してみるのもありだと思います。
専門業者に頼んで作ってもらうのもいいのですが、どうしてもコストが高くなりますし、集客できないホームページが出来上がり作っただけということにもなり得ます。
ホームページでの集客を目指すのであれば、ホームページをつくった後の運用(ブログを書いたり、ホームページの内容を現状に沿うよう修正したり、SEO対策を見直したり)が大事になるので、ある程度の知識を学習して自作するのがいいと思います。
お勧め作成ツール
1位 WordPressなどのCMS
2位 とりあえずホームページなどのホームページ作成ツール
3位 Wixなどフリーのホームページ
ワードプレスが1位なのは、やはり見栄えも良くSEO対策がしやすいからです。2位のとりあえずホームページは毎月¥3000くらいの費用はかかりますが、画像と文章を貼り付けするだけで簡単にそれなりのホームページが作れます。ただしある程度型が決まっているので作成自由度はワードプレスには劣ります。3位のWIXなどフリーホームページは無料プランだと広告などが入ってしまうので、あまりお勧めできないのですが、開業したての頃に仮のホームページとして使うのは有用かと思いましたので3位にしています。
ホームページのSEO対策を行う。
ホームページを作成するのであれば、SEO対策を行い集客につなげましょう。SEO対策とはWebページを検索結果の上位表示させ、顧客の流入を増やすために実施する一連の取り組みのことです。
SEO対策にしっかりと取り組めば、ホームページから顧客を獲得できる可能性がグッとあがります。SEO対策は奥が深く沢山の対策方法があるのですが、ここでは代表的なSEO対策を簡単に紹介したいと思います。
1、ターゲットキーワードを決めてコンテンツ(ブログなど)を作成する
ターゲットとするキーワードで多くの人に有用とされるような記事を書くことができれば、そのキーワードが検索されたときに、検索結果の上位に表示される可能性が高いです。自分の顧客層が検索してくれそうなワードを選定し、検索した人が結果に満足できる有用な記事を作成することが大事です。なおキーワドの選定には「ラッコキーワード」や「キーワドプランナー」といった検索数のボリュームを調べれるサイトがあるので、こういったサイトを利用しある程度の検索ボリュームのあるワードだけをピックアップし選定を行うといいと思います。(キーワードプランナーはグーグルでの登録が必要)こうして、ターゲットキーワードを決めることが、SEOの基本的な対策です。
2、検索ニーズに合うページを作る
例えばキーワードを選定してホームページをつくったとしても、検索ニーズにそぐわないページになってしまっては意味がありません。キーワードを選定したら、そのキーワードで検索した結果の上位10件あたりに注目しましょう。上位10位以内のサイトのタイトル名やコンテンツ内容の傾向を確認します。そうして確認した傾向を自身のコンテンツに盛り込みます。そうすれば、検索ユーザーの求める情報(検索意図)を満たしたWebページが作成できます。
3、良い評判や他のホームページなどからのリンクを獲得する
評判の良いサイトや他のホームページから多くリンクを獲得すると、グーグルからも良い評価を得やすくなります。良い評価を得ると検索でも上位表示されやすくなります。まだホームページが知られていないうちからSNSやメルマガなどを使って積極的に宣伝するといいでしょう。ただしホームページに意味のないリンク(実態のないサイトからのリンクなど)を多く作ってしまうとグーグルからの評価が下がってしまうこともあるので注意が必要です。
4、ページスピード(Webページが表示されるまでの速度)を改善する
ページの表示速度が遅いほど、自身のサイトに訪問したユーザーが最初のページだけを見て離脱してしまう可能性が上がります。つまり、ページの表示速度が遅ければ遅いほど見込みユーザーを逃がしていることを意味します。また読み込みが遅いサイトはGoogleにサイト情報が登録されないケースもあり、SEO的にもマイナスの影響を及ぼすため注意しましょう。(ページスピードが遅くなる原因としては張り付けた画像や動画が重いことや、外部ファイルが多いことなどが挙げられます)
5、スマホ対応する
当たり前ですがスマホで検索される方も多く、パソコンからだけではなくスマホからの流入も狙うことは必至です。


簡単にSEO対策にふれましたが、記載したのはSEO対策のごく一部です。SEOは奥が深いものですので是非自分なりに研究してみてください。SEO対策を行なってもなかなか結果につながらないこともあると思いますが、試行錯誤しながらコツコツ続けていくのが大事だと思います。
SNSで宣伝する。
事務所用のSNSをもっていなければ、事務所用のSNSを作りましょう。(個人のものではなく事務所用のものを作ったほうがいいです)SNSはFacebook、インスタグラム、Twitterなどありますが、拡散されやすいTwitterがお勧めです。
特にホームページを作りたてなどで、人の流入が少ない状態のときにSNSは人を呼び込む有用な手段となります。
かく言うこのブログもTwitterからの流入で読んで頂く方がとても多いです。Twitterも思うように上手く伸びないときは多いのですが、有益なことを呟いたり優良な記事を書いてアップすれば必ず見てくれる人はいます。
SNSを使って少しでも事務所の露出度を上げるというのが目的にはなりますが、事務所を知ってもらうだけでなくSNSを通じて事務所のホームページに流入が増えていけば、ホームページに対するグーグルの評価も上がり検索したときに上位に上がりやすいホームページになっていくと思います。


SNSも初めたばかりはフォロワーもなかなか増えず、苦労することもあるかもしれませんが有益な記事をアップしたり、他のユーザーに絡んでみたりして少しずつフォロワーを増やしていきましょう。
税理士や司法書士など他士業の方と知り合う
税理士の方や司法書士の方はたくさんの顧客を抱えられている方が多く、知り合っておくと仕事をふってもらえるチャンスは大いにあると思います。
ただし異業種交流会などで知り合おうとするのはあまりおすすめできません。異業種交流会で知り合いになった方から仕事をもらうというのも可能性としてはあると思うのですが、個人的には名刺交換だけでお互い親睦も深めることができずに終わってしまうことが多い印象です。
また異業種交流会に来られてる方は何らかのサービスや商品を売りたいという目的で来てる方が多いと思いますので、売り手である方々に自分を売り込むのは中々難易度が高いように思います。
おすすめの方法としては、同じビルや近所で開業されている税理士さんや司法書士さんに挨拶にいくことです。可能であればアポをとり、「近くで行政書士で開業しています」と挨拶に行くのがいいと思います。
僕も近くの司法書士さんを頼ったりするのですが、近くにいるというのは何かと利便性がいいもので頼りやすいものです。


僕の知り合いの先生で開業した事務所の半径5キロ以内の司法書士事務所をすべて訪ねて、知り合いになって仕事を回してもらうというタフな方もいました。
同士業(行政書士)と知り合う
同業者の行政書士の方ともガンガン知り合いになりましょう。最初は所属している書士会で開催されている研修や懇親会などに参加するといいと思います。参加するうちに自然と知り合いが増えていくでしょう。
知り合いが増えてくると所属する支部の運営を手伝いを頼まれたり、同好会などの幹事の誘いがあったりするかと思いますが、時間があるうちはそういうことも積極的にやってみるのがいいと思います。そうすることであなたの書士会での認知度はだんだんと高まっていくでしょう。
「同業者と知り合って営業になんてなるの?」と思うかも知れませんが、これは行政書士という職業ゆえにです。行政書士は数多の種類の仕事があり、いろんな人がいろんな仕事をしているので自分の得意分野以外の仕事や、やったことのない仕事は他の行政書士に振ろうって方が結構いるのです。(僕も行政書士の方から仕事を振っていただくことが幾度もありました)
なので、知り合った行政書士の方には自分の専門分野を知ってもらうように努めましょう。専門分野があれば他の行政書士の方にとってもその分野の仕事を依頼しやすいと思います。名刺に専門分野を記載したり、その分野のブログなどを書いたりするのもいいと思います。


まだ専門分野が決まってない方は今までどんな申請をおこなってきたか、これまでの経歴を伝えるのがいいでしょう。まだ業務を全くやったことがない人は何でも積極的にやってみたいとアピールしておきましょう。
自分の専門分野が決まってない時期は何の業務が自分にあっているのかわかるまで、いろいろ積極的に取り組んでみるといいと思います。
同業者の知り合いには業務のことも気軽に聞けたり、お互いに研鑽しあえたりと行政書士の方と知り合うメリットは他にも沢山あります。
知り合いに告知する
開業したら知り合いに必ず告知しましょう。開業のお知らせハガキを送ったり、フェイスブック等のSNSを使ってお知らせしてもいいと思います。知り合いにわざわざ告知するのは恥ずかしいとか、知り合いなんかから仕事はこないのでは?と思う方もいるかもしれませんが、仕事というのは思わぬところから飛びこんでくることがあります。
僕の場合でも、学生時代のアルバイト先の先輩のご家族が建設業をされていてようで、その先輩が僕の開業を知ってご家族の建設業許可の仕事をまわしてくれたということがありました。ですので行政書士としての自分を知ってもらうため、なるべく多くの人に告知したほうがいいです。


何か仕事をお願いしたいときには全く知らない人よりは、ある程度知り合いというのは信頼できますし頼みやすいものです。営業で大事なのはとにかく自分を知ってもらうこと、行政書士としての自分を露出していくということです。
外にでていく(知ってもらう)
とにかく知ってもらうことが大事なので、積極的に外にでていって行政書士としての露出を増やしましょう。一般のスポーツサークルや地域ボランティアなどに参加してみる。JC(青年会議所)や商工会議所などに所属するのもありだと思います。
特にJCは知り合いの行政書士でも入会されている方が多く、JC関係で仕事をもらったという話はよく聞きます。ただJCはボランティア活動や飲み会などの付き合いも多く、JCにつぎ込む時間やお金はけっこうなものになると思いますので、実際にやっている方に話を聞いてみるなどして入会される場合はよくよく検討されることをお勧めします。
どんな集まりであっても、時間とお金は使うことになりますので、使う時間とお金に対しどれだけの効果があるのかをじっくり検討することが大事です。またしばらくやってみて「合わない」「思うような成果(仕事)につながらない」と感じたらスパッとやめてしまうことも大事です。
行政書士としての自分を多くの人に知ってもらえば知ってもらうほど、仕事が回ってくる可能性も高くなっていくと思います。


ただし気をつけていただきたいのは、社交の場にでていく機会が増えると必ずと言っていいほど、ネットワークビジネス系の誘いがあります。ネットワークビジネスと名乗っていなくても「一般には知られていない稼げるノウハウがある」「人として成長でできる」「数億の年収を稼ぐビジネスの神がいる」的な誘いをしてくる方がいますが、間違ってもそんな話には乗らないようにしてください。
ネットワークビジネス自体がいいか悪いかをここで論じるつもりはありませんが、多くのネットワークビジネスでは、勧誘やセミナー、商品の斡旋、ノルマ達成などで膨大な時間とお金を費やすケースがままにあります。費やした時間とお金に対応する成果がでるかどうかも微妙ですし、時間を費やしても他で生かせるようなスキルやノウハウも身に付きにくいです。
時間を費やしてもまったく成果が上がらないことをするのであれば、その時間を他の副業にあてるなり時給をもらってアルバイトでもしたほうがいいです。万人に再現性のある「稼げるノウハウ」などは存在しません。
とにかく外にでていき、行政書士としての自分を知ってもらいましょう。
広告を打ってみる
DMやチラシなどの広告をうってみるといのもいいと思います。ただし、DMをむやみやたらに発送するなどは効率が悪いと思いますので、出すなら自分の扱う仕事と客層を考慮した上で、ある程度広告の媒体やターゲットを絞るという慎重さが大事になると思います。


ホームページでの集客を強化するのであれば「グーグル広告」を使うといのも1つの選択肢だと思います。グーグル広告の使い方も解説してくれているホームページが沢山あります。
飛び込み営業が苦手な人が無理に飛び込み営業しなくてもいい。
目についた会社にはいって名刺を渡しにいくようないわゆる「飛び込み営業」についてですが、僕はあまりオススメできません。効率の悪さもあると思うのですが、営業をやりなれない人にはやはり精神衛生的によくないのではという気がします。
営業のうまい人や何件断られても平気なメンタルの人であればやってみてもいいと思うのですが、営業先で邪険に扱われるとへこむ人が大半だと思うので(昨今のコロナ禍の状況で飛び込み営業される方も少ないと思いますが…)
前職が営業で慣れている方ですとか、建設業許可を扱うので建設業会社に絞ってというようなある程度戦略性のある飛び込み営業ならありかもしれないですが、何も考えずに飛び込み営業にいくのは結構しんどいと思いますし持続性がないように思います。
大事なのは自分に合う営業手法を考えて、無理なく地道にコツコツと続けていくことだと思います。


事務所をやっていく上で、何をやるかを決めることは大事ですが、それ以上に「何をやらないか」を決めることも大事だと思います。
最後に
今回は営業の方法を解説してきましたが、いかかでしたしょうか? 思うような劇的な方法は書いていなかったと落胆された方もいるかもしれませんが、営業活動は本当に地道な活動の積み重ねだと思うのです。種まきのようにしっかりと誠実に日々着々と積み重ねていけば、いつか蒔いた種が芽吹きだす瞬間がくると思います。
かく言う僕も開業して3ヶ月くらいは何の仕事もきませんでした笑。登録したての同期がすでに結構な仕事を請け負っている話を聞き、なぜ最初から仕事があるのか不思議でしたし焦りました。自分を他人と比較してしまい自分には仕事を獲得できるような能力がないのではないかと思うときもありました。
それでもこれまで何とかやってこれたのは、同世代の同業仲間がいたこと、運が良かったこと、自分なりにいろいろ試行錯誤してきたからだと思います。僕自身もまだまだ試行錯誤の段階なので、これからもいろいろ試していこうと思っています。
営業の方法はここで紹介した以外にも沢山あると思いますので、ぜひ自分なりの営業方法を確立していって一緒に売れっ子行政書士を目指しましょう。
開業したての頃というのは仕事がなくて辛かったり、自分がやったことの結果がうまくでなかったりで、無力感や孤独感に苛まれてしまうときもあるかもしれません。僕も開業したての頃は先が見えない毎日の中で不安になったり孤独な気持ちになることもありました。でもこの世界で独りぼっちなんてことはありません。
必ずどこかにあなたを応援してくれる人が、味方になってくれる人がいます。同じ行政書士として僕もあなたを応援しています。

