建築一式工事とは、工事の定義や具体例、専任技術者の要件などについて

建設業許可業種には「建築一式工事」という工事がありますが、どのような工事になるのでしょうか?

れと川さん

建築一式工事って、ビルを建てたりする工事ですよね?

尾西行政書士

はい、ビルなどの建築物を総合的に建設する工事は建築一式工事に該当するかと思います

れと川さん

ほかにはどんな工事が建築一式工事に該当するのでしょうか?

尾西行政書士

では今回は、建築一式工事について解説していきます

目次

建築一式工事の定義や工事の区分の考え方について

まずは建築一式工事の定義についてみていきたいと思います。

<建築一式工事の定義>
建築一式工事とは、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事を言います。大規模又な工事は、施工内容が複雑な工事を、原則として元請業者の立場で総合的に運営、管理する建設業者が取得する許可となります。

工事区分の考え方について
①ビルの外壁に固定された避難階段を設置する工事は消防施設工事ではなく。建築物の躯体の一部の工事として「建築一式工事」または「鋼構造物工事」に該当する。

※電気工事や管工事などの専門工事でも、工事の規模から判断して、個別の専門工事として施工するのが難しいものは建築一式工事となることがあります。

れと川さん

「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事」ですか… 具体的にはどんな工事が建築一式工事に該当するんですか?

尾西行政書士

具体的な内容については、次の段落でみていきましょう

建築一式工事の具体例

この段落では、建築一式工事の具体例についてみていきたい思います。

建築一式工事の具体例
・建物の新築工事
・建築確認を要する増改築工事
・建物の総合的な改修工事
・総合的な企画、調整、指導を伴う大規模な建物の解体工事 など

れと川さん

建物の解体工事が建築一式工事に該当することなんてあるんですか?

尾西行政書士

例えば、団地を解体して、その跡地にショッピングモールを建てるような工事であれば、その解体工事は建築一式工事に該当するかと思います

建築一式工事と専門工事

建築一式工事許可の注意点として、一式工事というと言葉のイメージから、建築関係のすべての工事がカバーできる許可だと思われがですが、「建築一式工事」を請け負うための許可になるので、専門工事を行う為には、その専門工事の許可が必要になります。

例えば、ビルの建築や建物全体などの改修工事など行う際には、建物の内装工事などが含まれることがあるかと思いますが、内装工事を専門工事として請負する場合は、内装工事の許可が必要になります。

例:ビルの建築や、建物全体の改修工事を行う → 建築一式工事

例:部屋の内装工事だけを行う → 内装工事(専門工事)

建築一式工事の許可があれば、他の専門工事でも請負できるというわけではないので注意が必要です。

れと川さん

建築一式工事の許可で、何でもできるというわけではないんですね

尾西行政書士

建築一式さえ取っておけば、建築関連の専門工事でも請負できると思い違いされている方もいらっしゃるので注意が必要です

土木一式工事と建築一式工事の違い

建設工事では29業種の工事がありますが、29業種のうち、「一式工事」に該当するのは、土木一式工事と建築一式工事の2つです。

土木一式工事と建築一式工事は他の専門工事と異なり、「総合的な企画、指導、調整のもと行われる工事」となります。

この2つの一式工事の違いについてですが、土木一式工事では、ダム、トンネル、道路等の「土木工作物」を総合的に建設する工事が該当し、いっぽう建築一式工事では、住宅の新築工事や建物の増改築工事や建物の改修工事など、「建築物」を総合的に建設する工事が該当します。

<土木一式と建築一式工事の違い>

土木一式工事…総合的な企画、指導、調整のもとにダム、トンネル等の「土木工作物」を建設する工事

建築一式工事…総合的な企画、指導、調整のもとに住宅の新築工事、建物の増改築工事など「建築物」を建設する工事

れと川さん

一式工事でも、土木工作物を建設するか、建築物を作成するかで工事の種類が異なってくるのですね

尾西行政書士

2つの一式工事の違いは覚えておくといいでしょう

建築一式工事の専任技術者や配置技術者(主任技術者、監理技術者)の要件

この段落では建築一式工事の専任技術者や配置技術者の要件をみていきたいと思います。

一般許可の建築一式工事の専任技術者及び、主任技術者の要件>
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士(建築)
・1級建築士
・2級建築士
・建築一式工事業に関して、10年以上の実務経験がある場合

※実務経験については、建築学、都市工学に関する学科を卒業した場合、高校の場合は実務経験は5年に短縮が可能、大学の場合は実務経験期間は3年に短縮可能

<特定許可の建築一式工事の専任技術者及び、監理技術者の要件>
・1級建築施工管理技士
・1級建築士

※特定許可の土木一式工事については、実務経験では専任技術者や監理技術者にはなれません

れと川さん

特定許可の建築一式工事では、2級技術者や実務経験者は専任技術者にはなれないんですね

尾西行政書士

その通りです

まとめ

<まとめ>
・建築一式工事とは、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事
・ビルの外壁に固定された避難階段を設置する工事は消防施設工事ではなく、建築物の躯体の一部の工事として「建築一式工事」または「鋼構造物工事」に該当する
・「一式工事」というと言葉のイメージから、建築関係のすべての工事がカバーできる許可だと思われがちだが、あくまで建築一式を請け負うための許可になるのでで、専門工事を行う為には、その専門工事の許可が必要。
・建築一式工事の具体例は、建物の新築工事や建物の総合的な改修工事など
・土木一式工事と建築一式工事は他の専門工事と異なり、「総合的な企画、指導、調整のもと行われる工事」となる
・特定許可の建築一式工事では、2級技術者や実務経験者は専任技術者にはなれない

尾西行政書士

当事務所では建設業許可の代行申請を行っています

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この記事を書いた人

平成28年開業。
大阪市中央区の行政書士事務所です。
建設業許可等の申請代行を中心に取り扱っております。

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