電気工事業登録について、概要や登録不要な場合等について解説

鹿野行政書士

電気工事業の登録って、あまり聞いたことがないのですが、どんな場合に必要なんですか?

尾西行政書士

今回は電気工事業登録について、概要や登録不要な場合など、わかりやすく解説します

目次

電気工事業登録とは

電気工事業を営もうとする方(自家用電気工作物に係る電気工事のみに係る電気工事業を営もうとする場合を除く)は、その営業所の所在地に応じて、都道府県知事又は経済産業大臣の登録を受けなければなりません。

「営業所」とは、電気工事の施工の管理(電気工事 に使用する測定器具や図面類を管理)をするなどの作業を行う店舗を指します。 したがって、本店、支店、営業所、出張所等の名称いかんにかかわらず、実態として、その管理の業務を行っていれば、営業所に該当します。

【電気工事業法上の営業所とは】
「営業所」とは、電気工事の施工の管理(電気工事 に使用する測定器具や図面類を管理)をするなどの作業を行う店舗

※電気工事の契約の締結、経営管理等のみを行い、具体的な電気工事の施工に関する管理をすべて下部組織等に行わせているような本店等は、営業所に該当しない

また電気工事業を自ら行う場合は、「建設業許可の電気工事」を取得済の場合であっても電気工事業者の登録必要です。ただし、建設業許可を取得済の場合は、「みなし電気工事業者の届出」になります。

【電気工事業者の登録とみなし電気工事業者の届出について】
建設業許可を取得していない場合 → 登録電気工事業者の登録
建設業許可を取得済の場合 → みなし電気工事業者の届出が必要

鹿野行政書士

なるほど、建設業許可があっても、みなし電気工事業者の届出が必要なんですね

尾西行政書士

稀に電気工事の許可があれば、電気工事事業者の届出は必要ないと思い違いされる方がいますので、気をつけましょう

電気工事業登録が不要な場合

電気工事業登録が不要な場合についてですが、以下①~⑥の事例に当てはまる場合は登録の必要はありません。

① 電気工事業法の規制を受けない電気工事のみを行う場合
・「発電所、変電所、最大500kw以上の需要設備など」の自家用電気工作物に係る電気工事、「電気事業の用に供する電気工作物(電力会社等の電力供給設備)」に係る電気工事)のみを行う場合など。

② 他者から依頼を受けないで電気工事を行う場合、又は試験的、一時的に電気工事を行う場合
・電気工事士免状を有する者がたまたま自宅の電気工事を行う場合
・ビル管理業者がそのビルの管理の必要上当該ビル内の電気工事を自らが反復
・継続して行う場合(他の者から依頼を受けて電気工事を行う部分があれば電気工事業に該当する。) ・他の業をもつ者がたまたま1回限り電気工事を行う場合など

③ 請け負った電気工事の施工をすべて他のものに下請させて、自らその電気工事を行わない場合。
※ただし、一度でも自らが電気工事に該当する作業を行うことがあるのであれば、電気工事業の登録等が必要。

④ 家電機器販売業者が家電機器の販売に附随して自ら電気工事を行う場合
※電気工事業の登録を受けていない家電機器販売業者が販売に付随して認められている電気工事の範囲は、使用電圧が200V以上のものを除くテレビや洗濯機用のコンセントを設ける等の局部的な工事で、電気工事士がその作業に従事する場合に限る。
※ただし、次のア~ウの場合は電気工事業の登録が必要 ア 幹線に係る工事、分岐回路の増設工事、分岐回路に設置されている分岐過電流保護器の容量変更を伴う工事あるいは屋側配線又は屋外配線に係る工事を行う場合 イ 家電機器販売業者が、太陽電池発電パネル設置にかかる電気工事を行う場合 (家電機器の販売に附随して自ら電気工事を行う場合には該当しないため) ウ 家電機器販売業者等から依頼を受けて電気工事を行う場合 (受託して電気工事を行うのは電気工事業に該当するため登録が必要)

⑤ 電気工事士免状を有する者が、登録電気工事業者(電気工事を請け負った者)のもとで工事の一部を手伝う(日雇い等)場合
※登録電気工事業者(電気工事を請け負った者)から、工事の一部又は全部の施工の委託を受けた場合(下請けとなった場合)は、登録が必要。

⑥ 電気工事に該当しない以下の6つの軽微な工事のみを行う場合
・電圧600V以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットその他の接続器又は電圧600V以下で使用するナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコード又はキャブタイヤケーブルを接続する工事
・電圧600V以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ。)又は電圧600V以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同じ。)をねじ止めする工事
・電圧600V以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ。)又は電圧600V以下で 使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同じ。)をねじ止めする工事
・電圧600V以下で使用する電力量計若しくは電流制限器又はヒューズを取り付け、又は取り外す工事
・電鈴、インターホン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が36V以下のものに限る。)の二次側の配線工事 ・電線を支持する柱、腕木その他これらに類する工作物を設置し、又は変更する工事
・地中電線用の暗渠又は管を設置し、又は変更する工事 など

鹿野行政書士

電気工事業登録が不要な場合もあるんですね

尾西行政書士

不要なケースを覚えておくといいでしょう

エアコンの設置工事(移設・撤去工事)を行うために登録が必要か

業としてエアコンの設置工事(移設・撤去工事)を行うためには、電気工事業者登録が必要です。標準的なエアコンの設置工事としては、以下の作業があげられます。

①エアコン室外機の設置
②室内機と室外機をつなぐ内外接続線に関連する作業
③接地線に関連する作業

④冷媒配管の接続
⑤ドレインホースの接続
⑥室内機の壁への固定

このうち、①及び④~⑥については、「電気工事」には該当しないため、電気工事士の資格は不要、電気工事業の登録は不要です。②及び③は「電気工事」に該当します。

作業内容によって、電気工事業の登録必要なもの、不要なもの、電気工事士の資格が必要なものと不要なものがありますが、エアコン設置工事(移設・撤去工事)の施工は通常1名で行うものであり、①~⑥の一連の作業を一貫して行うため、一般的にエアコン設置工事を行うためには登録が必要となります。

鹿野行政書士

エアコン設置には、内外接続線に関する作業や接地線に関連する作業があるので、電気工事業登録が必要なんですね

尾西行政書士

そのとおりです

電気工事業登録に必要なもの

電気工事業登録に必要なものは以下のものになります

【電気工事業登録新規申請に必要なもの】
・登録申請書(様式あり)
・誓約書(様式あり)
・登記事項全部証明書(法人のみ)
・電気工事士(第一種または第二種)免状の写し
・主任電気工事士等実務経験書(第二種電気工事士の場合のみ)
・主任電気工事士の雇用証明書(主任電気工事士を雇用する場合のみ) など

※申請先によって異なる可能性があります。

鹿野行政書士

登録への手数料は必要になるんですか?

尾西行政書士

登録電気工事業者の登録には所定の手数料がかかりますが、みなし電気工事業者の届出には、手数料は不要となっています

まとめ

<まとめ>
・電気工事業を営もうとする場合、その営業所の所在地に応じて、都道府県知事又は経済産業大臣の登録が必要
・「営業所」とは、電気工事の施工の管理(電気工事 に使用する測定器具や図面類を管理)をするなどの作業を行う店舗
・電気工事業を自ら行う場合は、「建設業許可の電気工事」を取得済の場合であっても電気工事業者の登録必要。ただし、建設業許可を取得済の場合は、「みなし電気工事業者の届出」になる
・電気工事業登録が不要なケースもある
・業としてエアコンの設置工事(移設・撤去工事)を行うためには、電気工事業者登録が必要
・登録電気工事業者の登録には所定の手数料がかかるが、みなし電気工事業者の届出には、手数料は不要

尾西行政書士

当事務所では建設業許可の代行申請を行っています

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この記事を書いた人

平成28年開業。
大阪市中央区の行政書士事務所です。
建設業許可等の申請代行を中心に取り扱っております。

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