建設業許可業種には「機械器具設置工事」という工事の業種があります。
機械器具設置工事って、工場の機械とかを設置する工事ですよね?
そうです、他にも舞台装置設置工事や、サイロ設置工事などもあります
じゃあ、そのあたりを詳しく教えて頂けますか?
わかりました、今回は機械器具設置工事について、解説していきます
機械器具設置工事の定義について
まず機械器具設置工事の定義についてみていきたいと思います。
具体的にはどんな工事があるのですか?
具体例については次の段落でみていきましょう
機械器具設置工事の具体例と工事区分の考え方
機械器具設置工事の具体例は以下のようなものになります。
〈機械器具設置工事の具体例〉
・プラント設備工事
・運搬機器設置工事
・内燃力発電設備工事
・集塵機器設置工事
・給排気機器設置工事
・揚排水機器設置工事
・ダム用仮設備工事
・遊技施設設置工事
・舞台装置設置工事
・サイロ設置工事
・立体駐車設備工事
※プラント設備とは、工場設備や生産設備一式のこと
※サイロとは、主に円柱の形をしたセメントを貯蔵しておく貯蔵建築物
工事区分の考え方
●『機械器具設置工事』には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、機械器具の種類によっては『電気工事』、『管工事』、『電気通信工事』、『消防施設工事』等と重複するものもあるが、これらについては原則として『電気工事』等それぞれの専門の工事の方に区分するも のとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械器具の設置が『機械器具設 置工事』に該当する。
● 「運搬機器設置工事」には「昇降機設置工事」も含まれる。
● 「給排気機器設置工事」とはトンネル、地下道等の給排気用に設置される機械器具に関する工事であり、建築物の中に設置される通常の空調機器の設置工事は『機械器具設置工事』ではなく『管工事』に該当する。
● 公害防止施設を単体で設置する工事については、『清掃施設工事』ではなく、それぞれの公害防止施設ごとに、例えば排水処理設備であれば『管工事』、集塵設備であれば『機械器具設置工事』等に区分すべきものである。
給排気機器設置工事と揚排水機器設置工事って、なんか管工事と少し似ていませんか? どういう違いがあるんでしょうか?
管工事との違いは次の段落で説明しますね
機械器具設置工事と管工事の違い
機械器具設置工事も管工事も機器を設置する工事という点で似ています。
2つの工事の違いとしては、主に空調機器や排水などの配管を行う工事は「管工事」に該当しますが、トンネルや地下道等の給排気用に設置される機械機器に関する工事は「機械機器設置工事」に該当します。
なるほど、似たような工事でも違いがあるわけですね
違いを覚えておくといいと思います
機械器具設置工事の専任技術者や配置技術者(主任技術者、監理技術者)の要件
この段落では、機械器具設置工事の専任技術者や配置技術者の資格要件をみていきたいと思います。
<一般許可機械器具設置工事の専任技術者及び、主任技術者の要件>
【資格等】
・技術士法の機械部門、総合技術監理部門(機械)
・技術士法の機械部門「流体工学」または「熱工学」、総合技術監理部門(機械「流体工学」または「熱工学」)
【実務経験】
・機械器具設置工事に関して、10年以上の実務経験がある場合
※実務経験については、建築学、機械工学、電気工学に関する学科を卒業した場合、高校卒業者は実務経験は5年に短縮が可能、大学卒業者は実務経験期間は3年に短縮可能
<特定許可の機械器具設置工事の専任技術者及び、監理技術者の要件>
【資格等】
・技術士法の機械部門、総合技術監理部門(機械)
・技術士法の機械部門「流体工学」または「熱工学」、総合技術監理部門(機械「流体工学」または「熱工学」)
【実務経験】
・指導監督的実務経験が2年以上あり、機械器具設置工事業の一般の建設業許可の要件を満たす場合
※指導監督的実務経験とは、元請として請け負った4,500万円以上の建設工事において、その設計又は施工の全般について、主任者または現場監督として、工事の技術面を総合的に指導監督した経験
2年の指導監督的実務経験+一般の専任技術者要件で、特定許可の機械器具設置工事の専任技術者になることができるのですね
そうです、特定許可の場合、実務経験で専任技術者になるには指導監督的実務経験が必須になります
機械器具設置工事の専任技術者になるのは難しい
機械器具設置工事の許可をとる場合、機械器具の専任技術者が必要です。
専任技術者になるには資格等や実務経験などが必要ですが、機械器具設置工事の資格等は技術士法(機械部門、総合技術監理部門)の合格者のみで、この資格が難易度が高めです。
ちなみに直近年度の機械部門の試験の合格率は以下のようになっています。
二次試験の合格率がかなり低いですが、それは二次試験を受けるには技術士補として4〜7年の実務経験を積まなければならないからです。働きながら試験勉強をするというのが、かなりハードルが高いと思われます。
資格が難しいとなると、実務経験が必要になるのですが、機械器具設置工事は軽微な工事が少ない傾向にあり、(機械の代金が工事代金に含まれる為)、機械器具設置工事の許可をもっている会社でないと実務経験を積むのが難しい状況にあると思います。
これらのことが、業種追加する際や、後任の専任技術者をみつけるのが難しい要因になっていると思われます。自社で専任技術者に該当する人がいないようであれば、他社から出向してもらったり、人材派遣の会社で人材を探してもらうのも一つの方法かと思います。(ただし、専任技術者は常勤していることが必須です)
機械器具の専任技術者になるにはハードルが高そうですね…
機械器具設置工事の許可をお持ちの会社は、技術者に実務経験をしっかり積ませておきたいところですね
まとめ
<まとめ>
・機械器具設置工事とは、機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事
・主に空調機器や排水などの配管を行う工事は「管工事」に該当するが、トンネルや地下道等の給排気用に設置される機械機器に関する工事は「機械機器設置工事」に該当する
・機械器具設置工事の専任技術者になるのは難しい
当事務所では建設業許可の代行申請を行っています