土木一式工事とは、工事の定義や具体例、専任技術者の要件などについて

建設業許可業種には「土木一式工事」という工事がありますが、土木にかかわるすべての工事が土木一式工事というわけではありません。では建設業許可における土木一式工事とはどのような工事でしょうか?

鹿野行政書士

尾西先生、土木一式工事って、確かダムを建設する工事やトンネルを作ったりする工事などが該当するんですよね?

尾西行政書士

そうですね、それらは土木一式工事に該当してくる工事かと思います。

鹿野行政書士

土木一式の工事の定義って、どのようなものになるのでしょうか?

尾西行政書士

では今回は、土木一式工事について詳しく解説したいと思います

目次

土木一式工事の定義や工事の区分の考え方について

まずは土木一式の定義、工事の区分の考え方についてみていきたいと思います。

<土木一式工事の定義>
土木一式工事とは、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む)です。大規模な工事や、施工内容が複雑になる工事を、原則として元請業者の立場で総合的に運営、管理する建設業者が取得する許可となります。

工事区分の考え方について
①「プレストレストコンクリート工事」のうち橋梁等の土木工作物を総合的に建設するプレストレストコンクリート鋼構造物工事は「土木一式工事」に該当する。
※プレストレストコンクリート工事とは、縮応力(プレストレス)をあらかじめコンクリートに人工的に加えることによって従来のコンクリート構造よりも、強度・耐久性に優れ、長寿命化を図った「プレストレスト・コンクリート」を扱った工事になります。
※プレストコンクリート工事であっても、橋梁等の土木工作物を総合的に建設するわけではなければ、とび・土工・コンクリート工事に該当することとなります。
②上下水道に関する施設の建設工事における「土木一式工事」、「管工事」及び「水道施設工事」間の区分の考え方は、公道下等の下水道の配管工事及び下水道処理場自体の敷地造成工事が「土木一式工事」であり、家屋その他の施設の敷地内の配管工事及び上水道等の配水小管を設置する工事が「管工事」であり、上水道等の取水、浄水、配水等の施設及び下水処理場内の処理設備を築造、設置する工事が「水道施設工事」である。なお、農業用水道、かんがい用排水施設等の建設工事は「水道施設工事」ではなく、土木一式工事に該当する。

鹿野行政書士

「土木工作物を総合的に建設する」というところがポイントになりそうですね

尾西行政書士

そうですね、総合的な企画や指導がない工事であれば、土木工作物を建設する工事でも土木一式工事に該当しないことがあるので気をつけましょう

鹿野行政書士

具体的な例としては、どのような工事が該当してくるのですか?

尾西行政書士

工事の具体例については、次の段落で説明していきますね

土木一式工事の具体的な種類

この段落では、土木一式工事の具体例についてみていきたい思います。

土木一式工事の具体例
・河川改修工事、河川構造物工事
・海岸工事
・道路工事:道路改良工事、道路構造物工事、道路築造工事、道路開設工事
・トンネル工事
・ニューマティックケーソン工事
・PCコンクリート工事のうち橋梁など
・ダム工事
・空港建設工事
・側溝等で現場打ちもしくは新設する工事
・土地区画整理工事、土地造成工事、大規模な宅地造成工事
・公道下等の下水道の配管工事および下水処理場自体の敷地造成工事
・公道下等の上水道管埋設工事
・上水道幹線工事、下水道幹線工事、大口径管工事で口径がおおむね2m以上のもの。
・農業用水道、かんがい用配水施設工事などの農業土木工事:土地改良工事、ほ場整備工事、農用造成工事・農用地・草地工事、農道工事、農業用水路工事、普通河川及び排水路工事、農業用管水路工事、畑かん施設工事、営農・飲雑用水施設工事、地すべり防止工事等
・砂防工事・地すべり等工事・急傾斜地崩壊防止施設工事:堰堤工、流路工、山腹工、抑制工、抑止工、床固工、落石なだれ防止工及びこれに類する工事。地すべり防止対策工事、地すべり抑制工事、地すべり抑止工事
治山工事、林道工事などの森林土木工事 など

鹿野行政書士

規模の大きい工事が多いイメージですね

尾西行政書士

建設工事の中でも一式工事は大規模な工事になることが多いのが特徴と言えます

土木一式工事と建築一式工事の違い

建設工事では29業種の工事がありますが、29業種のうち、「一式工事」に該当するのは、土木一式工事と建築一式工事の2つです。

土木一式工事と建築一式工事は他の専門工事と異なり、「総合的な企画、指導、調整のもと行われる工事」となります。

この2つの一式工事の違いについてですが、土木一式工事では、ダム、トンネル、道路等の土木工作物を総合的に建設する工事が該当し、いっぽう建築一式工事では、住宅の新築工事や建物の増改築工事や建物の改修工事など、建築物を総合的に建設する工事が該当します。

<土木一式と建築一式工事の違い>
土木一式工事…総合的な企画、指導、調整のもとにダム、トンネル等の「土木工作物」を建設する工事
建築一式工事…総合的な企画、指導、調整のもとに住宅の新築工事、建物の増改築工事など「建築物」を建設する工事

鹿野行政書士

一式工事でも、土木工作物を建設するか、建築物を作成するかで工事の種類が異なってくるわけですね

尾西行政書士

2つの一式工事の違いは覚えておくといいでしょう

土木一式工事の専任技術者や配置技術者(主任技術者、監理技術者)の要件

この段落では土木一式工事の専任技術者や配置技術者の要件をみていきたいと思います。

一般許可の土木一式工事の専任技術者及び、主任技術者の要件>
・1級建設機械施工技士
・2級建設機械施工技士(第一種~第六種)
・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士 種別:土木
・技術士法「技術士試験」 建設・総合技術監理(建設)
・技術士法「技術士試験」 建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)
・技術士法「技術士試験」 農業「農業土木」・総合技術監理(農業「農業土木」)
・技術士法「技術士試験」 水産「水産土木」・総合技術監理(水産「水産土木」)
・技術士法「技術士試験」 森林「森林土木」・総合技術監理(森林「森林土木」)
・土木一式工事業に関して、10年以上の実務経験がある場合

※実務経験については、土木工学、都市工学、衛生工学、交通工学に関する学科を卒業した場合、高校の場合は実務経験は5年に短縮が可能、大学の場合は実務経験期間は3年に短縮可能

<特定許可の土木一式工事の専任技術者及び、監理技術者の要件>
・1級建設機械施工技士
・1級土木施工管理技士
・技術士法「技術士試験」 建設・総合技術監理(建設)
・技術士法「技術士試験」 建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)
・技術士法「技術士試験」 農業「農業土木」・総合技術監理(農業「農業土木」)
・技術士法「技術士試験」 水産「水産土木」・総合技術監理(水産「水産土木」)
・技術士法「技術士試験」 森林「森林土木」・総合技術監理(森林「森林土木」)

※特定許可の土木一式工事については、実務経験では専任技術者や監理技術者にはなれません

鹿野行政書士

特定許可の土木一式工事では、2級資格や実務経験は要件に該当しないのですね

尾西行政書士

その通りです

まとめ

<まとめ>
・土木一式工事とは、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事
・土木一式工事の具体例として、河川工事、道路工事、トンネル工事、ダム工事などがあげられる
・土木一式工事では、土木工作物を総合的に建設する工事が該当し、建築一式工事では、建築物を総合的に建設する工事が該当する
・特定許可の土木一式工事では、2級資格者や実務経験者は専任技術者や監理技術者になれない。

尾西行政書士

当事務所では建設業許可の代行申請を行っています

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この記事を書いた人

平成28年開業。
大阪市中央区の行政書士事務所です。
建設業許可等の申請代行を中心に取り扱っております。

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